「趣味は何ですか?」と聞かれて、少し言葉に詰まる。休みの日は、たまった仕事を片づけて、買い物と食事に出かけて、少し散歩して、あとは寝ている。仕事中心でやってきた40代・50代の男性には、めずらしくない休日です。
ネットで「大人の男の趣味」と調べると、おすすめの趣味がずらりと並んだ記事がたくさん出てきます。けれど、一覧を眺めても「どれもピンとこない」。そう感じる人は多いのではないでしょうか。
この記事では、おすすめの一覧ではなく、「趣味が見つからない」状態の中身に目を向けます。仕事中心でやってきた人によくある過ごし方や考え方を、国の統計と照らし合わせながら整理し、趣味の探し方を考えます。
この記事で分かること
- 休日が仕事で埋まる人に趣味がないのは、怠けているからではない
- 「好き」はあるのに趣味と言えない理由は、「趣味」という言葉のイメージにある
- 昔やっていたスポーツには、そのまま戻らなくていい。形を変えて戻る
- 探すときは、基本はAIで調べ、楽しさは続けている人の声で確かめる
「休日も仕事」なら、趣味がなくて当たり前
仕事中心でやってきた人の休日は、たとえばこんな形です。
- たまった仕事を片づける
- 買い物や外食に出かける
- 近所を散歩する
- あとは、寝ている時間も多い
こう書き出してみると、趣味と言えそうなものが見当たらない。せいぜい食べ歩きくらいで、それも最近は減っている。そんな人は少なくないはずです。
ただ、これは特別なことではありません。総務省の調査(令和3年社会生活基本調査)では、この1年に何かしらの趣味・娯楽をした人は、50代前半で89.7%、60代前半で85.7%。裏を返すと、50〜60代でも1〜2割の人は「特になし」です。数字に出ない「やってはいるけれど、趣味と言えるほどではない」人まで含めれば、もっと多いでしょう。
仕事が中心の時期は、休みの日が「回復」と「片づけ」で埋まります。趣味がないのは、怠けているからではなく、趣味に回す時間と気力が残っていないから。そう考えたほうが実態に近いはずです。
「好き」はあるのに、趣味と言えない理由
振り返ってみると、「好きなもの」自体はいくつもある。そういう人は多いはずです。
たとえば、何かを買うとき。レビューを読み込み、比較のサイトをいくつも開いて、納得のいく一つを選ぶ。選ぶまでは夢中なのに、手に入れたあとは案外あっさりしていて、それを「趣味」と呼ぶ気にはなれない。
こういう場合、好きなのは「もの」そのものより、調べて、比べて、選ぶ過程なのかもしれません。
ここに、大人の男性が「趣味がない」と感じやすい理由のひとつがあります。
趣味という言葉には、「長く続けている」「時間を注いでいる」「人に語れるほど詳しい」といったイメージがついて回ります。そのイメージと比べると、「気になったものを調べて、納得して選ぶ」という楽しみ方は、趣味と呼びにくい。けれど、調べて、比べて、選ぶ過程そのものを楽しめているなら、それは立派な「好き」です。
「調べるのが好き」は、そのまま趣味の入口になる
「調べて選ぶ」のが好きな人は、次のような趣味と相性がよいと考えられます。
- 道具の違いが楽しめるもの:コーヒー、料理、日曜大工、カメラなど
- 知識が深まるほど面白くなるもの:お酒、器、歴史・街歩きなど
- 選んだものを使い込んでいくもの:園芸、手入れの必要な道具など
いきなり「続ける趣味」を探すより、「今いちばん調べたいものは何か」から始めるほうが、自然に時間を使えます。
楽しみ方は、年齢とともに変わっていい
外で食べるのが好きな人を例に考えてみます。
働き盛りのころは、休みの日に少し遠くの評判の店まで足を運んでいた。年を重ねると、家の近くでゆったりできる店に落ち着き、最近はおいしい惣菜を買って家で食べることも増えた。こういう変化は、よくあるものです。
外に出かける楽しみから、家でおいしいものを味わう楽しみへ。形は変わっても、「おいしいものを、くつろいで食べたい」という根っこは同じです。
統計でも、年代によって楽しみ方が移っていく様子が見えます。
| 趣味・娯楽 | 55〜59歳 | 65〜69歳 |
|---|---|---|
| 映画館での映画鑑賞 | 24.5% | 15.5% |
| 趣味としての料理・菓子作り(男性) | 7.3% | 4.9% |
| 園芸・庭いじり・ガーデニング(男性) | 24.0% | 32.6% |
| 日曜大工(男性) | 22.0% | 26.3% |
出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第30-2表をもとに編集部で作成
「前ほど楽しめなくなった」と感じたら、やめるのではなく、楽しみ方を変える。それも趣味と長く付き合うコツです。
チームでやるスポーツは、戻るハードルが高い
若いころにフットサルや草野球をしていて、いつの間にかやめた。そういう人がやめた理由は、たとえば次のようなものではないでしょうか。
- 仕事が忙しくなって、行けなくなった
- 引っ越して、通いにくくなった
- 人間関係が、少し面倒になった
友人に誘われれば考えるかもしれないが、正直なところ「いまさら」という気持ちのほうが強い。それに今、走り回るのはきつい。
これも、統計と重なります。サッカー(フットサルを含む)をした男性は、50代前半で2.5%、50代後半で1.5%、60代後半では0.9%。チームで、しかも走るスポーツは、年齢とともに大きく減ります。
| スポーツ(男性) | 50〜54歳 | 55〜59歳 | 65〜69歳 |
|---|---|---|---|
| ウォーキング・軽い体操 | 40.7% | 42.2% | 50.3% |
| ゴルフ(練習場を含む) | 13.7% | 15.4% | 15.4% |
| つり | 14.1% | 9.9% | 10.0% |
| 登山・ハイキング | 10.2% | 9.9% | 9.5% |
| サイクリング | 10.4% | 9.1% | 7.6% |
| ジョギング・マラソン | 12.9% | 9.8% | 6.3% |
| サッカー(フットサルを含む) | 2.5% | 1.5% | 0.9% |
出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第15-2表をもとに編集部で作成
戻るなら、「形を変えて」戻る
それでも、ボールを蹴る楽しさを忘れたわけではない。そういう人には、フットゴルフという選択肢があります。
フットゴルフは、サッカーボール(5号球)を蹴ってゴルフ場を9ホールか18ホール回り、カップに入るまでの打数を競うスポーツです。日本では2014年に日本フットゴルフ協会ができ、国内でプレーできるコースは約30か所あります(2026年6月時点、同協会)。コースは歩いて回るので、ボールを蹴る楽しさはそのままに、走り回る必要はありません。
昔やっていたスポーツに、そのまま戻る必要はありません。
- 走る → 歩く(ウォーキング、ハイキング)
- 試合 → 練習だけ(打ちっぱなし、壁当て)
- チーム → ひとり、または少人数
というように、負荷や人数を下げた形を探すと、戻りやすくなります。
今は「ひとりでできる趣味」から
仕事の予定が読みにくいうちは、人と時間を合わせる趣味は続きにくいものです。「みんなで時間を合わせて、となると今は少し面倒」という感覚は、定年後になれば変わるかもしれません。けれど今の時点では、無理をしないほうが続きます。
統計でも、男性の50〜60代でよく行われているのは、ウォーキング、ゴルフの練習、つり、登山・ハイキング、サイクリングなど、ひとりでも始められるものが中心です。趣味・娯楽でも、園芸や日曜大工、読書、写真など、ひとりで完結するものが上位に並びます。
「仲間と一緒に」が楽しい趣味は、時間に余裕ができたときにとっておく。今はひとりで気軽にできるものから、という順番で構いません。
趣味の探し方は、AIで調べて、動画で確かめる
趣味を探すときに目にする情報は、だいたい次の4つに分かれます。
- 体験教室を紹介する記事:宣伝っぽく感じて、参考にしにくい
- サークルやコミュニティ:入るハードルが高く感じる
- AI:気になったことの基本は、聞けばすぐ分かる
- YouTube:その趣味の楽しさや、やっている人のリアルな声が拾える
「何が必要で、いくらくらいかかって、どう始めるか」といった基本は、AIに聞けば短い時間で分かります。一方で、「実際にやってみて、何が楽しいのか」は、やっている人の声を聞かないと分かりません。
AIへの聞き方の例
AIに相談するときは、自分の条件を書くほど、自分向けの答えになります。
- 「ひとりでできて、走らない運動を5つ。月1万円以内で、最初の1か月の始め方も」
- 「道具を調べて選ぶのが好き。そういう人に向いている趣味を、理由と一緒に教えて」
- 「昔フットサルをしていた。今は体力に自信がない。ボールを使う、負荷の軽いスポーツは?」
リアルな声は、続けている人から
AIで候補をしぼったら、その趣味を続けている人の動画や体験談を見て、「楽しそうか」を確かめます。体験教室やサークルに行くのは、そのあとでも遅くありません。
自分に当てはめる3つの問い
読み終えたら、次の3つを考えてみてください。答えが1つでも出れば、それが入口です。
- 最近、つい調べてしまうものは何か。それが「調べて選ぶ」から始まる趣味の候補です
- 昔やっていたことで、負荷や人数を下げれば戻れそうなものはあるか
- 今は「ひとりで」と「仲間と」の、どちらが続けやすいか
まとめ
- 休日が仕事で埋まっているなら、趣味がないのは当たり前。怠けているわけではない
- 「好き」はあるのに趣味と言えないなら、「調べて選ぶのが好き」という楽しみ方を、そのまま趣味の入口にする
- 楽しみ方は年齢とともに変わっていい。やめるより、形を変える
- 昔のスポーツには、負荷や人数を下げた形で戻る(フットサルなら、フットゴルフという選択肢も)
- 今は「ひとりでできる趣味」から。仲間と楽しむ趣味は、時間ができたときにとっておく
- 基本はAIで調べ、楽しさは続けている人の声で確かめる
「趣味を見つけなきゃ」と構えるより、「今いちばん気になっていること」を少し深く調べてみる。大人の男の趣味探しは、そのくらいの軽さで始めるのがちょうどいいのかもしれません。
出典
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」 https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/kekka.html
- e-Stat「令和3年社会生活基本調査 第30-2表 趣味・娯楽の種類別行動者率」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032222964
- e-Stat「同 第15-2表 スポーツの種類別行動者率」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032222868
- 一般社団法人日本フットゴルフ協会「フットゴルフとは?」 https://www.jfga.jp/aboutfootgolf


