転職がオンラインで完結する時代!求職者が欲しいのは「入社後のイメージ」

 リモートワークやオンライン面接が普及する中、転職活動もオンラインで完結する時代となった。今や、従業員と直接会わないまま、企業に来社しないまま、転職先を決める人もいる。そのような人は、どういった情報や対応が欲しいのであろうか。

 今回は、北海道から東京の当社へ転職した人に話を聞いた。遠方の企業へ転職するにあたって、何を確認しようとし、何をもって判断したのか。求職者が欲する情報は、自社が発信する情報を考える上でのヒントになるであろう。

 さらに、転職当時の当社は社員数2名の企業であった。企業にとって、最初の数人を確保することは難しい。知名度や情報の少ない企業の求人を見た時、どのような判断をして応募に至ったのかについても話を聞いた。

目次

サービス業界での経験を活かして、IT業界を目指す

転職前:某大手ホテル運営企業の北海道リゾートホテルでフロント、客室管理、料飲のマルチタスク
→現在:株式会社デジタルボックスの企画職(人材紹介事業を企画し、現在はこの事業運営に携わっている最中)

・性別:女性
・転職時の年齢:29歳
・最終学歴:北海道大学大学院 教育学科 修士課程修了
・パーソナリティ:とにかく手作り弁当にこっています。北海道の真ん中の何もないリゾート地で勤務していた時、運転できなく、交通機関はJRが1日数本という環境で、ネットスーパー頼りで3年間1食欠けず弁当を作っていました。東京に引っ越してから、3口ガスコンロ+スーパー徒歩1分の生活環境で毎日料理作りに夢中です。

――今日はどうぞよろしくお願いします。まず、転職の経緯について伺いたいのですが、以前はどんなお仕事をされていたんですか?

 中国の大学から北海道の大学院に進学して、北海道内のホテルに就職しました。そこに就職した理由はいくつかあって、日本のサービス業はあたたかい雰囲気があると思っていて、おもてなしを学んで自分もできるようになれるといいなと思ったから。あと、中国語のスキルも役立つだろうと思ったから。日本の職場は上下関係が厳しいイメージだったけれど、そこはフラットなイメージを打ち出していたのが魅力的で、そこに決めました。

 就職したら本当にフラットな職場で、「ホテル業界はブラックな企業が多いと聞いたのですが……」と面接で聞いたら、残業代も支払うし、提案があれば言える職場だと聞いて、実際にそうだった。

――とても魅力的な職場ですね。でも、なぜ転職を考えたのでしょう?

 コロナ禍でホテルが長期休暇に入った時に、サービス業の将来を考えました。長期休暇中の給与は補償してもらっていたけれど、入社時に思っていたほどまで年収は上がっていなくて、転職してみてもいいんじゃないかなと。その時は「3年経つまでは転職しちゃいけない」と思っていたから、入社して3年経ってたことも大きかったかな。

企業からの「いいね」で求人票を確認した

――どんな風に転職活動をスタートさせたのですか?

 サービス業で上を目指すのもいいけど、コロナ禍がどれだけ続くのかもわからない。業界を変えて、IT業界を目指そうと思いました。でも、どうすればIT業界に入れるのか分からない。

 ホテル内のレストランの業務改善や、スキーをしない旅行者は何をするのかといった魅力開発に携わっていて、業務改善や企画に関わるところが面白いなと思っていました。コンサルや企画職なら経験を活かせるんじゃないかと。

――自己分析して、狙いを定めたんですね。募集はすぐ見つかりましたか?

 コロナ禍の最中だから、採用企業は減っていると言われました。札幌でも探したけれど、求人の数が多い東京を中心に探しました。

――遠方の求人を探すことになるわけですが、どんなサービスを使いましたか?

 使ったのは転職エージェントと転職サイト。最初、転職エージェントに3社登録しました。うち1社はコンサル求人を多く取り扱っているところだったけど、私のような完全未経験向けの求人がなくて。そこでは現実を見せてもらって、転職活動で使ったのは2社です。

――それぞれ、どういう方法で求人を探したのでしょう?

 転職エージェントは、エージェントから勧められた求人に応募しました。サービスによって、メールが多いものや自分が希望しない職種の求人が送られてくるものもありました。私の場合は、エージェントから希望する求人があまり来なかったので、転職サイトも使うことにしました。転職サイトでは「未経験」「企画」などで検索をしながら、求人票を見て応募しつつ、届いたスカウトメール経由でも応募しました。

――ちなみに、当社の求人票は転職サイトで見つけたのですか?

 転職サイトで出会いました。ただ、検索してたどり着いたのではなくて、転職サイト内にアップしていたプロフィールに「いいね」をもらったんです。どんな企業なんだろう?と見に行ったのがきっかけです。

「検索しても情報が出てこない、社員数2人の企業」に応募を決めるまで

――企業からのアクションで求人票を見て、今そこで働いているってすごいですね。何か魅力があったのでしょうか。

 求人票を見ると「未経験」「企画職」で、私の希望する内容でした。業務内容や身につくスキルは書いてあるけど、企業の情報は社員数が2名ということが分かっただけ。当時のコーポレーションサイトもシンプルなものだったから、どんな企業でどんな職場なのかは分からなかった。家族に小規模の企業は危ないのではないかと止められました。

――最初期ということもあって、職場や情報が少なかったんですね。企業としても最初の何人かを確保する段階は大変だと思います。その少ない情報を基に応募・入社したわけですが、どうやって判断したんでしょうか。

 本当に怪しい企業なのかそうじゃないのか、確信が持てる情報が欲しい。まずは検索してみましたが、新しい会社だったので出てこない。口コミサイトを見てみたけれど、書き込みもない。

 一番参考にしたのは「転職サイトの取材」。取材担当者から見た企業の情報が書いてあったのを読んで、「危ない企業ではなさそうだ」「人数も少ないからフラットみたいだ」と少しずつ情報を手に入れました。あとは立地。五反田はIT企業がある場所だから、そこにあるIT企業なら怪しくなさそうだと思いました。

――遠方に住んでいて確認しに行けない分、客観的な情報は重要ですね。肝心の求人票の中身はどうでしたか?

 具体的な業務内容と、どういうことを考えているかが書かれていました。そして「今のところ決まっているのはそれだけ」と書いてあった。これは人によるけど、私は「正直な職場だな」と思った。それで、きっと悪い職場ではないだろうって。

「…今のところ決まっているのはそれだけ。現状開発中のサービスのほか、これからどんなサービスを展開していくか、代表と一緒に考えていってくださる方を募集しています。」

「代表直下で自由度が高い社風だからこそ、試行錯誤しながら新たなビジネスを作っていけるのが当社の魅力。未経験でも大丈夫!一緒にアイデアを出し合いながらカタチにしていきましょう。自分の力でビジネスを作り上げていく面白さを味わいませんか?」

当時の企画職募集の求人票

――本当に正直ですね(笑)。そんな求人票を出してた時期があったんだ。

 知名度のない企業は、どういう企業か分からないのが不安。「残業時間が少ない」「〇〇制度がある」と書いてあると嬉しいけれど、それも本当かどうか分からない。入社前と入社後で実際と違うこともあるし、どう判断するかは難しい。

――現役キャリアコーディネーターの目から見ると、どんな情報が必要ですか?

 分かりやすい仕事内容。何の仕事で募集しているのかは絶対に見るから、ここをしっかり書くのが大切だと思う。ときどき仕事内容じゃないものが書いてある求人票があるけど、企業として仕事内容を決められていないところは怪しく思う。どういった業務なのか、そして何ができる人を求めているのか。そこがあまり固まっていない企業は、本当に採用するのかと思う。
ただ、書いてあることが本当の情報かは分からない。入社前と入社後では実際が違う、というのは、よくある退職理由なので。

――逆に、見つけたけど応募しなかった求人や、応募を迷った求人はありましたか?

 特になかったかな。自分の中の条件を満たしていれば、いろいろと応募しました。

遠方の企業で働くことを想像する

オンライン面接は、より面接官が判断材料になる

――それで面接に臨むわけですが、北海道から上京して面接を受けたんですか?

 ちょうどコロナの時期で、北海道に住んでいたので、どの企業もオンライン面接でした。

――オンライン面接って、受けてみるとどんな感じですか?

 対面の面接よりも、面接官が重要な気がしました。オンライン面接は、どこも背景はバーチャル背景だったので、どんな職場か知ろうとすると、どうしても面接官で判断する部分が大きくなりました。面接官の第一印象、その人の動きや表情、話す時のトーン、私服かスーツか、身だしなみはどうか……そういった話し合いの中で感じたことが重要でした。

――これはちょっと、と思った面接や面接官はありましたか?

 特にはありませんでした。どこの企業もちゃんとした人でした。でも、もし高圧面接されたら、次の選考には進まないんじゃないかと思う。

――オンライン面接で、普段の面接と違うことや、なにか工夫をしている企業はありました?

 面接の流れとしては、通常の対面での面接と同じでした。会社の説明、仕事の紹介、転職の理由、なぜこの業界のうちに就職したいのか。何か特別なことがあったわけではないかな。

 当社の場合は、オンラインで職場見学をしてもらいました。代表がどんなところで働くか見る?と言ってくれて。ノートパソコンを持って社内を1周して、画面越しに案内してもらいました。私は「働く場所が見たい!」というわけではなかったし、建物が新しいか古いかなどはあまり重要視していませんでした。でもその職場見学で、新しい!おしゃれ!この企業は当たりかも、と思いました。

――怪しい企業じゃなさそうだと思えたんですね。では、ここが知れたらうれしいというものは何でしょうか?

 働く場所もいいけれど、一緒に働く人がどんな人かを知りたい。ときどき、求人票に配属先の人員構成が書いてあったりするけれど、あれは入社後のイメージがしやすくなるからいいと思う。ただ、面接の場合は、オンライン面接であっても、多くの企業が会議室などの個室でやるだろうし、個人情報のこともあるからなかなか難しいと思う。

――面接でも、一緒に働く人がどんな人かを伝える手段があったらいいですね。他にも、詳しく知りたいことや重要視したことはありましたか?

 詳しい仕事内容、会社の雰囲気、キャリアプラン。この3つは詳しく知りたいと思っていました。他にも、残業時間など細かい部分で知りたいこともあるのですが、重要なのはその3つだと考えています。また、面接官と話し合う時の、真剣に真実を話している心構えを重要視しました。それらを踏まえて入社する1社を決めました。

遠方への転職時にあると嬉しい情報

――ところで、東京に土地勘はありました?北海道から東京に転職する時、不安になりませんでしたか?

 中国から北海道に来ているから、引っ越しを伴う転職でもそんなに不安はありませんでした。土地勘は無いけれど、入社を決めた当社は東京都内の駅近なので何とかなるとも思っていました。前の職場は、周りに何もない場所だった。「何もない場所ですよ」と言われていたけれど「日本だし何かあるでしょ」と思っていたら、本当に何もなくて。東京23区だから、そういうことは無いだろうと。

――前の職場は、スキー旅行者が来るような場所だもんなあ。

 「満員電車のことも考えておいた方がいいよ」と言われていたけれど、何を考えればいいか分からなかった。でも、なるようになるさって思っていた。

――確かに「どの路線がいつの時間帯に混む」という情報は、土地勘が無いと想像するのも難しいかもしれませんね。他にも、東京で就職するにあたって考えたことや準備したことはありますか?

 内定をもらった後、友達に会社の前まで来てもらったことがあります。会社の外観や周辺の町を見てもらって、写真を送ってもらいました。どういった建物なのか、どんな場所にあるのかを確認して「大丈夫そうだ」と思いました。

 あとは住む場所探し。9月末に内定が出た後に、入社条件の話を代表としました。その時に住むのにいい街をいくつかオススメしてもらいました。そして11月9日の入社日に初めて会社に来ました。

――そういった情報が少しでもあると、遠方からの転職も不安が軽くなりそうですね。では最後に。もしあなたが採用担当になったとして、何をして求職者に「応募してみよう」「働きたい」と思わせますか?

 仕事内容を正直に伝えて、やりがいと働く環境をアピールします。「キャリアコーディネーター」を調べると「激務」と第2検索ワードで出てくる。それに対して、うちがどう対応しているかを伝えるだけでも、どんな企業なのかが伝わる。

 人によって考えはちがうけど、働いている人自身が感じているやりがいは参考になると思う。例えば、私の場合はキャリアコーディネーターなので、「コストを抑えていい人材がほしい企業と、上の条件を求める個々人を、どうお互いに理解を深めるか」や「条件のこだわりが強すぎる求職者に、どうアピールしていくか」を、やりがいを感じながら対応しています。私が面白いと思っている部分を伝えて、一緒に解決したいという人が来てくれたらいいなと思います。

 そして、働く環境は重要だと思います。仕事内容・働く環境・収入、仕事に関する重要な情報はこの3つだけれど、中でも働く環境は見えにくい。フラットな感じなのか、どういう雰囲気なのか。それも判断の材料になる。それだけじゃなくて、将来的に長く働いてもらえるように、職種ごとにどう育てるかのプランを示す。前例がない場合も、今どのように考えているかを伝えることが大切じゃないかと思う。無理にワークライフバランスに寄せなくても、今の実態をアピールすれば、きっと求職者には魅力的に感じてもらえるはず。

連載「求職者目線で考える採用」

 1.求職者が求める情報とは?求人票・面接を魅力的にするアイデア
 2.求職者は企業の何を見て判断した?応募の背中を押したのは「従業員の声」
 3.転職はオンラインで完結する時代!求職者が欲しいのは「入社後のイメージ」

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