「ひとりで楽しめる何かがあったらいいな」。そう思って「一人でできる趣味」を調べると、何十個も並んだ一覧が見つかります。でも、眺めているうちに「どれもピンとこない」「始めても続かなそう」と感じて、結局そのまま、ということも少なくありません。
それで大丈夫です。趣味は、無理に探して身につけるものではありません。多くの人の趣味は、気づいたら続いていたものや、ちょっとしたきっかけで始まったものです。
この記事では、国(総務省)の「社会生活基本調査」の数字を見ながら、ひとりで過ごす趣味の時間がどんなものかを確かめます。そのうえで、今の「好き」や手元の時間から、きっかけになりそうなものを探してみます。
この記事で分かること
- 趣味がなくても、ひとりで楽しんでいても、どちらもごく普通だということ
- 自分の「ひとり時間」が、同じ年代・性別の人と比べてどのくらいか
- 時間の長さと今の気分から見つける、ピンとくる候補(早見表)
- 長く続いている趣味に共通すること
- 趣味が始まるきっかけの拾い方
先に知っておくと気が楽になる2つのこと
趣味がない時期があっても、おかしくない
国の調査では、10歳以上で、この1年に何かしらの趣味・娯楽をした人は86.3%でした。裏を返せば、7人に1人は「この1年、趣味と呼べることを特にしなかった」ことになります。仕事や家のことで手いっぱいの時期は、だれにでもあります。趣味がないことは、あせる理由にはなりません。
ひとりで楽しむのは、いちばん多い過ごし方
1日の過ごし方を見ると、趣味・娯楽に使う時間のうち、一人で過ごしているのは28分。家族やほかの人と一緒の時間(合わせて18分)の1.5倍以上です(10歳以上の平均)。ひとりで趣味を楽しむのは、さみしいことでも少数派でもなく、むしろいちばんよくある形です。
この記事の数字について
- 出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」(調査日は2021年10月20日)。ひとり時間は、調査票Aの第8表「男女,年齢,主な行動の種類,一緒にいた人別総平均時間-週全体」の値です。「一人で」は、だれとも一緒にいなかった時間です
- この時間は、その日に趣味をしなかった人も含めた全員の平均です。「何もしない日」と「たっぷりする日」をならした数字だと考えてください
- 調査期間には新型コロナの緊急事態宣言の時期が含まれます
自分のひとり時間は、同じ年代と比べてどのくらい?
自分の年代・性別のところを見てみてください。ひとりで趣味・娯楽に使っている1日の平均時間と、それを1週間に直した時間です。
| 年齢 | 男性(1日) | 男性(1週間) | 女性(1日) | 女性(1週間) |
|---|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 83分 | 約9時間40分 | 38分 | 約4時間30分 |
| 25〜29歳 | 69分 | 約8時間 | 35分 | 約4時間10分 |
| 30〜34歳 | 54分 | 約6時間20分 | 23分 | 約2時間40分 |
| 35〜39歳 | 42分 | 約4時間50分 | 17分 | 約2時間 |
| 40〜44歳 | 31分 | 約3時間40分 | 15分 | 約1時間50分 |
| 45〜49歳 | 28分 | 約3時間20分 | 16分 | 約1時間50分 |
| 50〜54歳 | 23分 | 約2時間40分 | 14分 | 約1時間40分 |
| 55〜59歳 | 20分 | 約2時間20分 | 16分 | 約1時間50分 |
| 60〜64歳 | 26分 | 約3時間 | 17分 | 約2時間 |
| 65〜69歳 | 34分 | 約4時間 | 21分 | 約2時間30分 |
| 70〜74歳 | 34分 | 約4時間 | 21分 | 約2時間30分 |
| 75〜79歳 | 33分 | 約3時間50分 | 20分 | 約2時間20分 |
出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第8表をもとに編集部で作成。1週間の時間は、1日の時間を7倍して10分単位にまとめた

20代前半が最も長く、そこから少しずつ短くなります。男性は50代後半、女性は30代後半から50代にかけてが底で、1週間に2時間前後です。60代後半からまた長くなります。
今「自分の時間なんてほとんどない」と感じていても、それはあなただけではありません。仕事や家事、家族の用事が重なる年代は、多くの人がこのくらいの時間で過ごしています。そして多くの人にとって、ひとりの時間はこの先また増えていきます。焦って何かを始めなくても、時間ができたときに思い出せる候補が1つあれば十分です。
ピンとくるものはある? 時間と気分で見る早見表
一覧から選びにくいのは、使える時間も、そのとき欲しいものも人によって違うからです。自分の時間の長さと、今の気分が交わるあたりを眺めてみてください。「これなら」と思えるものが1つあればいいですし、なければそれでかまいません。
| 今の気分 \ 時間 | すき間の10〜15分 | ときどき30分〜1時間 | 休日にまとめて2〜3時間 |
|---|---|---|---|
| 気分を切り替えたい | 音楽を聴く、短い散歩 | 映画・ドラマを1本、カフェで読書 | 映画館、美術館・博物館 |
| 何かに没頭したい | パズル、ゲーム | 楽器、ゲーム、俳句・小説を書く | 模型・プラモデル、絵を描く |
| 体を動かしたい | ストレッチ・軽い体操 | ウォーキング、ジョギング、ジムで筋トレ | サイクリング、登山・ハイキング、つり |
| 何か形に残したい | スマホで写真を撮る | 料理・お菓子作り、園芸、編み物・手芸 | 日曜大工、カメラを持って散歩 |
| 知りたいことがある | 本や記事を少し読む | 語学、オンライン講座 | 講座・教室に行ってみる、図書館で調べもの |
表の候補は編集部で選びました。どれも、国の調査で多くの人がしている趣味か、ひとりで始めやすいものです。たとえば、音楽鑑賞は10歳以上の53.5%、映画鑑賞(映画館以外)は52.7%、ウォーキング・軽い体操は44.3%、園芸は26.0%、写真は21.9%がこの1年にしています。
長く続いている趣味に共通すること
国の調査には、その趣味をしている人が1年に何日しているか(平均行動日数)という数字もあります。並べてみると、長く続いている趣味には共通点が見えてきます。
| 趣味 | している人の1年の平均日数 | だいたいのペース |
|---|---|---|
| ゲーム | 167日 | 週3回ほど |
| 音楽鑑賞(CD・スマートフォンなど) | 146日 | 週3回ほど |
| マンガを読む | 82日 | 週1〜2回 |
| 趣味としての読書 | 78日 | 週1〜2回 |
| 楽器の演奏 | 71日 | 週1回以上 |
| 園芸・ガーデニング | 63日 | 週1回ほど |
| 映画鑑賞(映画館以外) | 49日 | 週1回弱 |
| 写真の撮影・プリント | 42日 | 月3〜4回 |
| 料理・菓子作り | 31日 | 月2〜3回 |
| 日曜大工 | 13日 | 月1回ほど |
| 映画館での映画鑑賞 | 5日 | 年5回ほど |
出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第30-3表をもとに編集部で作成(10歳以上)

よく続いているのは、家で、思い立ったときに、少しだけでもできるものです。音楽を聴く、本を読む、植物に水をやる。どれも「よし、やるぞ」と気合を入れなくても、生活の流れの中で自然に手が伸びるものです。
一方、映画館はしている人でも年5回ほど。回数は少なくても、それが楽しみで日々をがんばれる「たまのごほうび」になっている人も多いはずです。
つまり、続く趣味は「続けよう」と頑張ったものというより、生活の中に無理なくなじんだものです。ピンときた候補があったら、「これなら、気が向いたときにできそうか」くらいの軽さで考えてみてください。
趣味が始まるきっかけは、たいてい身近にある
趣味は、一覧から選んで始めるより、身近なきっかけから自然に始まることがほとんどです。こんなところに、きっかけは転がっています。
今の「好き」の延長
よく聴く音楽があるなら、その曲を弾いてみる。散歩が好きなら、気になった景色をスマホで撮ってみる。食べることが好きなら、気に入った味を家で再現してみる。新しく何かを探すより、今の好きを一歩だけ広げるほうが、ずっと自然です。
季節や行事
春に花を見て、ベランダに鉢をひとつ置いてみる。紅葉の季節に、近くの山を歩いてみる。年末の片づけで、壊れた棚を直してみる。季節は、毎年かならずやってくるきっかけです。
手元にあるもの
家に眠っている楽器やカメラ、昔もらった道具、本棚の読みかけの本。すでに手元にあるものは、お金をかけずに試せるいちばん身近なきっかけです。
だれかの「楽しそう」
家族や友人が夢中になっている話を聞いて、ちょっとのぞいてみる。SNSで見かけた作品を、まねしてみる。ひとりで楽しむ趣味でも、始まりはだれかの楽しそうな姿だったりします。
やってみて合わなければ、やめてかまいません。趣味は義務ではないので、「続かなかった」は失敗ではなく、「自分には合わなかった」が分かっただけです。
男性の趣味の見つけ方は大人の男に趣味がないのは普通?「好き」はあるのに趣味と言えない理由と、見つけ方、年代ごとの趣味の顔ぶれは50代の趣味ランキング・60代の趣味ランキング、教室で習うことに興味があれば50代から始める習い事でも紹介しています。
最後に、ひとつだけ問いかけ
最近、時間を忘れて何かをしていたことはありますか。つい調べてしまうこと、気づくと手が伸びていることは何でしょう。
もし思い当たるものがあれば、それはもう、あなたの趣味の芽です。名前のついた「趣味」になっていなくても、ひとりで楽しめているなら、それで十分です。
調査について
- 社会生活基本調査は、総務省統計局が5年ごとに行う調査で、国民の生活時間の配分や、1年間の余暇の過ごし方を調べています
- この記事の数字は令和3年(2021年)調査のものです。次の令和8年(2026年)調査は2026年10月20日を調査日として行われ、結果は令和9年(2027年)9月から順に公表される予定です。公表されたら、この記事の数字も新しくします
- 「行動者率」は過去1年間にその趣味を1回以上した人の割合、「平均行動日数」はその趣味をした人が1年にした日数の平均です
まとめ
- 趣味がない時期があっても、おかしくない(7人に1人は、この1年特に趣味をしていない)
- ひとりで趣味を楽しむのは、いちばん多い過ごし方
- ひとり時間は年代で変わる。少ない時期は多くの人に共通で、60代後半からまた増える
- 長く続いている趣味は、頑張ったものより、生活の中に無理なくなじんだもの
- きっかけは、今の好きの延長、季節、手元にあるもの、だれかの楽しそうな姿など、たいてい身近にある


