定年後の過ごし方ランキング|国の統計で見る、仕事を離れた人の1日と、増えた時間の使い道

定年後の過ごし方ランキング 仕事を離れた人の1日と、増えた時間の使い道

「定年したら、毎日何をして過ごそう」。仕事を離れる日が近づくと、多くの人が一度はそう考えます。「やることがなくて困る」という話を聞くと、少し不安にもなります。

でも、ほかの人が実際にどう過ごしているかは、意外と知られていません。この記事では、国(総務省)の「社会生活基本調査」の数字で、同じ年代の「主に仕事をしている人」と「仕事をしていない人」の1日を比べてみます。

先にお伝えすると、数字から見えてくるのは「みんな、思っているよりのんびり過ごしている」ということです。

目次

この記事で分かること

  • 仕事を離れると、1日の自由な時間がどのくらい増えるか
  • 仕事をしていない65〜69歳の人の、1日の過ごし方ランキング(男女別)
  • 増えた時間が、実際に何に使われているか
  • 仕事をしていない人の1日は、働いている人の「日曜日」に近いということ
  • 肩の力を抜いて、楽しみのきっかけを拾うヒント

この記事の数字について

  • 出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」(調査日は2021年10月20日)の生活時間編 第4-1表「曜日,男女,ふだんの就業状態,ふだんの健康状態,一緒にいた人,年齢,行動の種類別総平均時間」。曜日をならした「週全体」の値です
  • 「働いている人」は、ふだん主に仕事をしている人(有業者のうち「主に仕事」)。「仕事をしていない人」は無業者です
  • 同じ人の定年前と定年後を追った数字ではありません。同じ年代で、働いている人と働いていない人を比べたものです。仕事をしていない人には、体調や家の事情で仕事をしていない人や、もともと家事が中心だった人も含まれます
  • 時間は、その日にその行動をしなかった人も含めた全員の平均です
  • 調査期間には新型コロナの緊急事態宣言の時期が含まれます

仕事を離れると、自由な時間は1日4時間40分ほど長くなる

65〜69歳の男性で比べると、主に仕事をしている人は仕事と通勤に1日平均6時間15分ほど使っています。仕事をしていない人では、これがほぼゼロになります。

その分、テレビや休養、趣味などに使える「自由な時間」(調査では3次活動)は、1日6時間18分から11時間1分へ。4時間43分長くなります。

65〜69歳働いている男性仕事をしていない男性働いている女性仕事をしていない女性
仕事5時間33分4分5時間17分2分
通勤42分1分37分1分
睡眠7時間39分7時間59分7時間9分7時間31分
家事19分59分2時間7分4時間6分
買い物19分33分32分46分
自由な時間(3次活動)の合計6時間18分11時間1分4時間56分7時間49分

出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第4-1表をもとに編集部で作成(週全体の1日あたりの平均)

65〜69歳男性の1日の自由な時間。主に仕事をしている人は計6時間18分(テレビ・新聞など2時間55分、休養1時間39分、趣味34分、スポーツ14分、そのほか56分)、仕事をしていない人は計11時間1分(テレビ・新聞など5時間25分、休養1時間57分、趣味1時間31分、スポーツ31分、そのほか1時間37分)(総務省 令和3年社会生活基本調査 第4-1表)

男性では、仕事と通勤で空いた時間の大半が自由な時間に回り、家事も40分ほど増えます。女性では、空いた時間のうち2時間ほどが家事に回り、自由な時間は2時間53分長くなります。

睡眠も20分ほど長くなります。目覚ましをかけずに起きられる朝が増える、ということでもあります。

仕事をしていない人の1日の過ごし方ランキング

では、仕事をしていない65〜69歳の人は、自由な時間をどう過ごしているのでしょう。長い順に並べました。

順位男性(仕事をしていない65〜69歳)1日の平均女性(仕事をしていない65〜69歳)1日の平均
1位テレビ・ラジオ・新聞・雑誌5時間25分テレビ・ラジオ・新聞・雑誌3時間44分
2位休養・くつろぎ1時間57分休養・くつろぎ1時間39分
3位趣味・娯楽1時間31分趣味・娯楽44分
4位スポーツ31分スポーツ18分
5位学習・自己啓発14分交際・付き合い13分
6位受診・療養10分学習・自己啓発9分
7位交際・付き合い7分受診・療養8分
8位ボランティア活動・社会参加6分ボランティア活動・社会参加4分

出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第4-1表をもとに編集部で作成。自由な時間(3次活動)のうち、移動と「その他」を除いて並べた

男女とも、1位はテレビ・ラジオ・新聞・雑誌、2位は休養・くつろぎです。新聞をじっくり読む、ラジオを聞きながらお茶を飲む、ソファで昼寝をする。そうした時間が、1日の過ごし方の中心になっています。

3位の趣味・娯楽は、男性で1日1時間半。働いている同じ年代の男性(34分)の2.7倍です。

なお、これは「その日にしなかった人」も含めた平均です。毎日1時間半ずつ趣味をしているというより、たっぷりする日と、しない日がならされた数字だと考えてください。どんな趣味をしている人が多いかは、60代の趣味ランキングで紹介しています。

増えた時間の半分ほどは、テレビ・新聞など

働いている人と比べて増えた自由な時間4時間43分(65〜69歳の男性)が、何に回っているかを見てみます。

増えた時間の使い道増えた分増えた時間の中の割合
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌+2時間30分53%
趣味・娯楽+57分20%
休養・くつろぎ+18分6%
スポーツ+17分6%
学習・自己啓発+9分3%
そのほか(移動・受診・交際・ボランティアなど)+32分11%

出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第4-1表をもとに編集部で作成(65〜69歳男性。主に仕事をしている人と仕事をしていない人の差)

仕事をしていない人と主に仕事をしている人の差。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌+2時間30分(53%)、趣味・娯楽+57分(20%)、休養+18分(6%)、スポーツ+17分(6%)、学習+9分(3%)、そのほか+32分(11%)(総務省 令和3年社会生活基本調査 第4-1表)

増えた時間の半分ほどは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌に回っています。「定年後はテレビばかりになってしまうのでは」と心配する人もいますが、数字で見ると、それはごく多くの人の姿です。長く働いてきたあとに、ゆっくりニュースを見たり新聞を読んだりする時間が増えるのは、自然なことでもあります。

一方で、増えた時間の2割は趣味・娯楽に、1割近くはスポーツや学びに回っています。多くの人が、空いた時間の全部ではなく、一部を少しずつ好きなことに使っている、という形です。

増えた時間を全部、何かで埋めなくても大丈夫です。テレビとくつろぎの合間に、気が向いたことを少し。それが、多くの人の実際の過ごし方です。

増えた時間の3分の2は、一人の時間

同じ表には、だれと一緒にいたかの数字もあります。65〜69歳の男性では、働いている人の一人で過ごす自由な時間は2時間28分、仕事をしていない人では5時間33分。増えた自由な時間のおよそ3分の2(65%)は、一人で過ごす時間です(女性では半分ほど)。

職場の人と毎日顔を合わせていた生活から、一人の時間が多い生活へ。この変わり方に戸惑う人がいるのは、ある意味で当然です。一人の時間の楽しみ方は、一人でできる趣味の見つけ方でもまとめています。

仕事をしていない人の1日は、働いている人の「日曜日」に近い

「定年後は毎日が日曜日」と言われます。数字で比べると、これはかなり当たっています。

65〜69歳の男性働いている人の日曜日仕事をしていない人(週全体)
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌4時間9分5時間25分
休養・くつろぎ2時間7分1時間57分
趣味・娯楽1時間6分1時間31分
スポーツ20分31分
家事31分59分
自由な時間(3次活動)の合計9時間13分11時間1分

出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」第4-1表をもとに編集部で作成。働いている人の日曜日にも仕事をしている人がいるため、日曜日の仕事時間の平均は1時間56分

仕事をしていない人の1日は、働いている人の日曜日とよく似た形をしています。違うのは、自由な時間がさらに1時間50分ほど長く、その分がテレビ・新聞などと趣味、家事に少しずつ回っていることです。

つまり、定年後の毎日は、今の日曜日の延長として考えるとイメージしやすくなります。

楽しみのきっかけは、今の暮らしの中にある

定年後の過ごし方は、定年の日に一から決めるものではありません。多くの人は、テレビやくつろぐ時間を中心にしながら、その合間に少しずつ好きなことを足しています。きっかけは、こんなところにあります。

今の日曜日の「楽しみ」

日曜日に楽しみにしている時間は何でしょう。朝の散歩、好きな番組、ひいきのチームの試合、家族との食事。定年後の毎日は日曜日に近いので、今の日曜日の楽しみは、そのまま毎日の楽しみの候補です。

平日の昼だからできること

働いていると行けなかった、平日の昼の美術館や映画館、空いている温泉、図書館。地域の公民館やカルチャーセンターの講座は、平日の昼に開かれているものも多くあります。時間ができたら「行ってみたかった場所」に一度行ってみる。それだけでも、きっかけになります。教室で習うことに興味があれば、50代から始める習い事でも探し方を紹介しています。

増えた家のこと

男性では、仕事をしていない人のほうが家事の時間が40分ほど長くなります。毎日の料理や買い物、ベランダの植物の世話。用事として始めたことが、いつの間にか楽しみに変わることもあります。家のことの中にも、趣味の芽は隠れています。

昔、好きだったこと

若いころに夢中になったこと、忙しくてやめてしまったこと。時間ができたことで、また手を伸ばしやすくなります。男性の趣味の見つけ方は、大人の男に趣味がないのは普通?でも取り上げています。

やってみて合わなければ、やめてかまいません。定年後の時間は長いので、いくつか試して、残ったものが趣味になれば十分です。

最後に、ひとつだけ問いかけ

今の日曜日、いちばん楽しみにしている時間は何ですか。

それがすぐに思い浮かぶなら、定年後の毎日にも、すでに楽しみの種があります。思い浮かばなくても大丈夫です。時間ができてから、ゆっくり見つかることも多いのですから。

調査について

  • 社会生活基本調査は、総務省統計局が5年ごとに行う調査で、国民の生活時間の配分や、1年間の余暇の過ごし方を調べています
  • この記事の数字は令和3年(2021年)調査のものです。次の令和8年(2026年)調査は2026年10月20日を調査日として行われ、結果は令和9年(2027年)9月から順に公表される予定です。公表されたら、この記事の数字も新しくします
  • 「自由な時間」は、調査の「3次活動」(睡眠・食事などの1次活動、仕事・家事などの2次活動以外の時間)で、移動(通勤・通学を除く)、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、学習・自己啓発・訓練、趣味・娯楽、スポーツ、ボランティア活動・社会参加活動、交際・付き合い、受診・療養、その他を合わせたものです

まとめ

  • 65〜69歳の男性では、仕事をしていない人の自由な時間は、働いている人より1日4時間43分長い(女性では2時間53分)
  • 仕事をしていない人の過ごし方の1位はテレビ・ラジオ・新聞・雑誌、2位は休養・くつろぎ。男女とも同じ
  • 増えた時間の半分ほどはテレビ・新聞などに、2割は趣味・娯楽に回っている。全部を何かで埋めなくていい
  • 増えた自由な時間の3分の2は、一人で過ごす時間(男性)
  • 仕事をしていない人の1日は、働いている人の日曜日に近い。今の日曜日の楽しみが、定年後の楽しみの候補になる

出典

定年後の過ごし方ランキング 仕事を離れた人の1日と、増えた時間の使い道

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