「何か趣味がほしい。でも、お金はなるべくかけたくない」。そう思って調べると、「お金のかからない趣味30選」のような一覧がたくさん見つかります。ただ、眺めていると「結局、道具や教室にお金がかかるのでは」と感じることもあります。
そもそも、ほかの家は趣味にどのくらいお金を使っているのでしょう。国(総務省)の「家計調査」には、本や園芸、映画など、趣味・娯楽の品目ごとに、1世帯がいくら使っているかの数字があります。
この記事では、その数字を見ながら「趣味のお金」の実際を確かめ、無料で使える身近な場所と、お金をかけずに試すヒントを紹介します。
この記事で分かること
- 趣味・娯楽に使うお金(教養娯楽費)は、1世帯で月にどのくらいか。その中身は何か
- 本・園芸・映画など、趣味の品目ごとに見た1か月あたりの支出
- 年代によって、お金をかけている趣味がどう変わるか
- 図書館・公民館・公園など、無料や安い料金で使える身近な場所
- お金をかけずに、趣味を試してみるヒント
この記事の数字について
- 出典:総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯」詳細結果表 第4-6表「世帯主の年齢階級別1世帯当たり支出金額,購入数量及び平均価格」の2025年の1年間の値です。年代は世帯主の年齢です
- 金額は、その品目を買わなかった世帯も含めた平均です。実際に買った世帯だけで見れば、もっと多く使っています
- 1か月あたりの金額は、1年間の金額を12で割って10円単位にまとめました
- 一人暮らしの世帯は含みません
趣味・娯楽のお金は月約3万2千円。でも、その2割は通信・放送・新聞
家計調査では、趣味や娯楽に関わる支出を「教養娯楽費」としてまとめています。2025年は1世帯あたり年38万5,496円、月にすると約3万2千円で、暮らしのお金全体(消費支出)の約1割でした。
ただ、この中には「趣味」と聞いて思い浮かべるもの以外もたくさん入っています。

| 教養娯楽費の中身 | 1年間 | 割合 |
|---|---|---|
| 通信・放送・新聞(インターネット接続料・放送受信料・新聞) | 84,486円 | 22% |
| 旅行(宿泊料・パック旅行費) | 74,284円 | 19% |
| ペット(フード・用品・動物病院など) | 32,164円 | 8% |
| 月謝(習い事・教室) | 31,661円 | 8% |
| パソコン・テレビ・レコーダー | 21,499円 | 6% |
| そのほか(本・園芸・映画・運動用具・おもちゃなど) | 141,402円 | 37% |
出典:総務省「家計調査」第4-6表(二人以上の世帯、2025年)をもとに編集部で作成。割合は教養娯楽費に占める割合
インターネットや受信料、新聞といった毎月かかるものと旅行で、4割ほどを占めます。本や園芸、映画のような、いわゆる「趣味」のお金は、残りの部分に、品目ごとに少しずつ散らばっています。
趣味の品目ごとに見ると、月に数百円ほど
では、趣味の品目ごとには、いくら使っているのでしょう。1か月あたりに直して並べました。

| 品目 | 全体の平均(1か月あたり) | 世帯主が50代 | 60代 | 70歳以上 |
|---|---|---|---|---|
| 本(書籍) | 約600円 | 約610円 | 約570円 | 約370円 |
| 雑誌 | 約170円 | 約170円 | 約210円 | 約190円 |
| 園芸(植物と用品) | 約710円 | 約430円 | 約890円 | 約1,080円 |
| 切り花 | 約640円 | 約470円 | 約830円 | 約960円 |
| 映画・演劇などの入場料 | 約700円 | 約1,090円 | 約740円 | 約370円 |
| 美術館・博物館などの入場料 | 約310円 | 約330円 | 約370円 | 約160円 |
| カメラと写真のプリント | 約340円 | 約260円 | 約260円 | 約120円 |
| 楽器 | 約180円 | 約320円 | 約80円 | 約50円 |
| 手芸・工芸材料 | 約70円 | 約110円 | 約50円 | 約40円 |
| ゴルフ(用具とプレー料金) | 約990円 | 約820円 | 約1,870円 | 約1,020円 |
| スポーツクラブの使用料 | 約450円 | 約300円 | 約680円 | 約500円 |
| 音楽の月謝 | 約380円 | 約330円 | 約190円 | 約160円 |
| スポーツの月謝 | 約890円 | 約710円 | 約410円 | 約340円 |
出典:総務省「家計調査」第4-6表(二人以上の世帯、2025年)をもとに編集部で作成。年間の金額を12で割り、10円単位にまとめた。「美術館・博物館などの入場料」は家計調査の「文化施設入場料」
本は月に約600円、園芸は約710円、映画や演劇は約700円。趣味の品目の多くは、1世帯あたり月に数百円ほどです。
これは、買わなかった世帯も含めた平均です。本をよく買う家ではもっと使っていますし、まったく買わない家もあります。それでも、ほかの家が趣味の1つひとつに毎月何千円もかけているわけではない、ということは見えてきます。「お金をかけずに楽しむ」のは、特別な節約術ではなく、多くの家のふつうの姿です。
年代で変わる、お金をかけている趣味
同じ表を年代で見ると、お金をかけている趣味が入れ替わっていきます。
- 世帯主が50代の家では、映画・演劇などの入場料(約1,090円)が、ほかの年代より多くなっています
- 60代では、ゴルフ(約1,870円)とスポーツクラブ(約680円)がいちばん多い年代です。国内のパック旅行も月約3,840円と、ほかの年代より多くなります
- 70歳以上では、教養娯楽費の全体は少なくなりますが、園芸(約1,080円)と切り花(約960円)はいちばん多い年代です
年を重ねるほど、家のまわりで楽しむ、少額の趣味にお金を使う家が増えていく、と読めます。植物を育てる、花を飾るといった楽しみは、大きな出費をしなくても、毎日の暮らしの中で続けやすいものです。
年代ごとに多くの人がしている趣味は、50代の趣味ランキング・60代の趣味ランキングで紹介しています。
無料や安い料金で使える、身近な場所
お金をかけずに趣味を楽しめる場所は、思ったより身近にあります。
| 場所 | 全国の数 | お金のこと |
|---|---|---|
| 図書館 | 3,400館 | 公立図書館は、入館料や本などの利用料をとらないと法律で決まっている |
| 公民館(類似施設を含む) | 13,031館 | 講座やサークル活動の場。費用は講座ごとに違う |
| 都市公園 | 115,917か所 | 入園料がかからない公園も多い。散歩、写真、草花や野鳥の観察に |
| 博物館(類似施設を含めると) | 1,346館(5,772館) | 料金は館によって違う |
出典:文部科学省「令和6年度社会教育統計(社会教育調査の結果)」(施設数は令和6年10月1日現在)、国土交通省「都市公園等整備の現況(令和6年度末)」、図書館法第17条
図書館は、いちばん身近な「無料の趣味の場所」
図書館法には「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と書かれています。本を借りるのも、館内で雑誌や新聞を読むのも、お金はかかりません。
国民1人あたりでは、図書館から1年に4.8冊の本などが借りられています(令和5年度)。家計調査で本に使っているのは1世帯で月に約600円なので、図書館をうまく使えば、読書の楽しみはお金をかけずに広げられます。料理の本を借りて作ってみる、園芸の本で育て方を調べる、旅行のガイドブックを眺める、といった使い方もできます。
公民館は、講座とサークルの入口
公民館は全国に13,031館あり、図書館の約4倍です。市区町村の広報紙や公民館の掲示板には、地域の講座やサークルの案内が載っています。費用は講座によって違うので、気になるものがあれば案内で確かめてみてください。教室の探し方は、50代から始める習い事でも紹介しています。
公園は、歩くだけでも楽しみになる
全国の都市公園は11万か所を超えます。近くの公園を歩くだけでも、季節の花や木の変化に気づいたり、スマホで写真を撮りたくなったりします。歩きながら草花の名前を調べる、野鳥を探す、といった楽しみ方も、お金はかかりません。
お金をかけずに、趣味を試してみるヒント
まずは借りて、のぞいてみる
本は図書館で借りる。講座は地域の無料や安いものに一度行ってみる。最初からそろえたり申し込んだりしなくても、「借りる」「のぞく」で、その趣味が自分に合うかはだいたい分かります。
道具は、好きだと分かってからでいい
最初から道具をそろえる必要はありません。スマホで写真を撮ってみて、楽しくなってからカメラを考える。鉢1つで育ててみて、面白くなってから庭やベランダを広げる。お金をかけるのは、「これは好きだ」と分かってからで遅くありません。
お金をかける楽しみも、悪くない
お金のかからない趣味だけが正解ではありません。たまの映画館や旅行が、毎日の張り合いになっている人もいます。ふだんはお金をかけずに楽しみ、ここぞというときに使う。そのくらいの気持ちで十分です。
やってみて合わなければ、やめてかまいません。お金をかけていない分、気軽にやめて、また別のものを試せるのも、お金のかからない趣味のいいところです。ひとりで気軽に始められる趣味は、一人でできる趣味の見つけ方でも紹介しています。
最後に、ひとつだけ問いかけ
最近、お金を使わずに楽しかった時間はありましたか。
思い浮かんだものがあれば、それはもう、あなたのお金のかからない趣味の候補です。
調査について
- 家計調査は、総務省統計局が毎月行う調査で、全国の世帯の収入と支出を調べています。この記事の数字は、二人以上の世帯の2025年の1年間の結果(2026年2月公表)です。2026年の1年間の結果が公表されたら、この記事の数字も新しくします
- 「教養娯楽費」は、家計調査の分類「教養娯楽」の合計です。テレビ・パソコンなどの耐久財、文房具・運動用具・園芸用品・ペット用品などの用品、本・新聞などの印刷物、旅行・月謝・受信料・入場料・インターネット接続料などのサービスを含みます
- 年代は世帯主の年齢です。世帯主が29歳以下の世帯は集計した世帯の数が少ないため、この記事では取り上げていません
- 図書館・公民館・博物館の数は、文部科学省の社会教育調査(令和6年度、施設数は令和6年10月1日現在)、都市公園の数は国土交通省の「都市公園等整備の現況」(令和6年度末)です
まとめ
- 趣味・娯楽のお金(教養娯楽費)は、1世帯で月約3万2千円。ただし2割は通信・放送・新聞、2割は旅行
- 本・園芸・映画など、趣味の品目ごとに見ると、1世帯あたり月に数百円ほど。お金をかけずに楽しむのは、多くの家のふつうの姿
- 70歳以上の家では、園芸と切り花にかけるお金がいちばん多い。家のまわりの少額の楽しみが増えていく
- 公立図書館は法律で利用が無料。全国に図書館3,400館、公民館13,031館、都市公園115,917か所がある
- まずは借りて、のぞいてみる。道具は、好きだと分かってからでいい


